自動車におけるアルカンターラは高級素材として、長年扱われてきましたがアルカンターラに関する歴史やメリット・デメリットはあまり知られていないのではないでしょうか。
この記事では、アルカンターラがなぜ高級素材なのかやそもそもアルカンターラとはどういう物なのかなどについて解説していきます。
アルカンターラはこんなに魅力的な素材!
アルカンターラとはポリウレタンとポリエステルから造られる人工皮革の一種で、天然皮革材であるスエードに極めて近い質感と外観が魅力の生地です。
このアルカンターラは日本の大手化学メーカーでもある「東レ」が1970年代に開発を行い、エクセーヌと言う名称で販売が行われていました。
東レパンパシ会場が見たくてドライブ(笑) pic.twitter.com/x3MiazKetM
— ふる (@CintaLumba) 2018年9月13日
そして、アメリカではウルトラスエードとして認知されていましたが、イタリアを中心としたヨーロッパ圏内ではアルカンターラというブランドイメージが定着していたため、日本でもアルカンターラと呼ばれる様になりました。
一時は自動車の内装に使われるこの高級素材を全てアルカンターラという名称で統一していましたが、現在では日本で製造されている物をウルトラスエード、イタリアで製造された物をアルカンターラと呼ぶことになっています。
大手化学繊維メーカー「東レ」とは
旭化成、シートファブリック市場世界最大手の米セージ社を791億円で買収 https://t.co/h2VZybqOYT
旭化成は「ラムース」ってスエード調人工皮革扱ってんだけど、東レの「アルカンターラ」みたいな知名度も無いし無理がある。
ちな、ぼくのロードスターRFの純正レカロ生地はアルカンターラな(・_・)
— えっ!?ブレンボ付いてないんですか?!?!??? 【@namazur@mstdn.jp】 (@NAMAZUrx) 2018年7月20日
東レとは、1926年に日本で創業した化学企業で東京に本社を構える大手化学繊維メーカーです。
創業当時は東洋レーヨンと言う会社名でしたが、1970年に現在の社名である東レ株式会社に社名変更されました。
また、時期を同じくして人工皮革材であるエクセーヌや化学繊維であるパレルを開発し、世界に肩を並べる化学メーカーにまで成長を遂げました。
現在エクセーヌは自動車の内装材としてアルカンターラブランドまたは、ウルトラスエードの名称で世界展開が行われている主力商品でもあります。
自動車メーカー「ランチア」と「アルカンターラ」の関係は?
少しでもいいなぁと思った人はRTだよ✌️#ランチア #ストラトス pic.twitter.com/YslWmVHVyC
— イケてる車 🚙【厳選動画像】 (@IketeruKuruma__) 2018年9月9日
ランチアとアルカンターラはとても深い関係にあります。
ランチアは1906年にイタリアで創業した高級自動車メーカーですが、アルカンターラの高級感溢れる質感や扱いやすさを見出し内装品への採用を最初に提唱した自動車メーカーでもあります。
1980年代には自動車業界として初めてアルカンターラ採用したのもランチアで、後にランチアから販売された全ての車種にアルカンターラが採用されました。
その後も、ドイツ車であるメルセデスやBMWなどヨーロッパを中心にアルカンターラを内装材として採用するメーカーが増え、アルカンターラは高級車の代名詞ともなり、その草分け的存在がランチアなのです。
アルカンターラのシートとステアリングの魅力に圧巻!
スポーツ系の車のステアリングやダッシュボードにはアルカンターラが使われています
アルカンは滑りにくいのでシートやステアリングのホールド性を高め、また難燃性や熱くなりにくさ、フロントガラスに映りにくい事もあり、採用が増えつつあります。 pic.twitter.com/FKgChBtbQM— Int Shima (@S206Sen) 2016年6月6日
アルカンターラ生地の最大の魅力は、天然皮革材であるスエードに酷似したデザイン性と高級感にあります。
スエードは子牛や山羊の皮をけば立てるように加工した皮革で、ジャケットやブーツなどに採用される高級感とデザイン性に富んだ革素材の1つですが、耐久性が低く汚れに弱い事から自動車への採用は見送られてきました。
アルカンターラは、この両面をクリアし上質な室内を演出するには最高の素材なのです。
特にシート部分は自動車の質感を大きく左右する部分となっており、座り心地はもちろんのことドアを開けた瞬間に目に入ってくるインパクトが重要です。
何度ドアを開けても飽きの来ないデザインと高級感を楽しむ事ができると言う点がアルカンタラシートの魅力でもあります。
LEXUS GS450h
ステアリング
写真だとわかりにくいですが、上部のみアルカンターラ
耐久性は本革シートのほうがもちろん強いですが、あまり握らない箇所に採用してワンポイントとすると高級感があり見た目抜群です! pic.twitter.com/qstdmM976V
— シンクデザイン (@thinkdesign2006) 2017年12月9日
また、ステアリング部分においても高級感を感じながらステアリングを握り運転できると言う、優越感に浸れることもアルカンターラの魅力と言えます。
アルカンターラを自動車用シートに使う*メリット*
アルカンターラを車用シートに使うメリットは複数ありますが、代表的なのは耐久性が高いという点です。
スエード革材と見た目が殆ど同じなため区別が付きにくいのですが、元々は超極細の化学繊維で造られた人工皮革のため、一般的なファブリックシートや本革シートよりも耐久性に優れ、傷や汚れに強いと言う事が最大のメリットです。
また、スエード革材とほぼ変わらない高いデザイン性が高級感を演出してくれると言う点も、アルカンターラを車用シートに使うメリットと言えます。
アルカンターラを自動車用シートに使う*デメリット*
耐久性が高くデザイン性にも優れ40年以上前に開発されたとは思えないほど欠点の無いアルカンターラ生地ですが、アルカンターラを車用シートに使う唯一のデメリットとも言えるのが価格の高さです。
これは製造上のコストが原因と言われており、耐久性や高級感は本革シートに勝りますが、反面コストという観点ではアルカンターラシートの方が圧倒的に劣ってしまう事が唯一にして最大のデメリットと言えます。
アルカンターラをステアリングに使う*メリット*
アルカンターラをステアリングに使うメリットは幾つかありますが、代表的なのはステアリングを握ったときのグリップ感が安定すると言う点です。
アルカンターラは、スエード革材とほぼ同じ柔らかさの化学繊維でできた人工皮革であるため、ステアリングを握った際に自然と手に馴染む特性があり、本革やウレタン製のステアリングと比べても汗や乾燥で握り損ねてしまったり滑るなどという事はありません。
また、防汚耐性が高く手垢や汗が付着しづらい素材である事もメリットと言えます。
アルカンターラをステアリングに使う*デメリット*
アルカンターラは欠点の少ない優秀な人工皮革ですが、アルカンターラをステアリングに使う上で唯一のデメリットと言えるのが、清掃がし難いという点です。
元々は防汚耐性が高く、汗などによる染みや手垢などが付きにくい素材ではありますが、使用年数が増えればそれだけ自然と汚れが蓄積されていきます。
アルカンターラは超極細化学繊維を使った人工皮革となっている為、例を出すならばマイクロファイバータオルをさらに極細繊維で作り込んだ物と構造が似ているため、汚れを落とすのに非常に時間が掛かるという事がデメリットと言えます。
アルカンターラの耐久性について
アルカンターラの耐久性についてですが、一般的な本革やファブリック素材よりも耐久性が高いと言われています。
具体的には本革のように水分に弱かったり、革がへたり割れや破れが発生しないという事から耐久性が高いと言われています。また、アルカンターラは通常のファブリック素材とは異なり強度の高い人工皮革でできている為、生地がすり減って破れてしまったり、難燃性が高くから燃えにくいと言う観点からも高い耐久性を誇る人工皮革となっています。
アルカンターラの汚れについて
アルカンターラは、超極細な化学繊維できた人工皮革であるため染みや泥汚れなどに強い素材とされています。
しかし汚れに強い素材と言っても、経年によって自然と汚れは蓄積されて行くため一定期間ごとの清掃は欠かせません。
また、超極細な化学繊維でできているため、抜け落ちてしまった繊維や服などに付いている細かい埃が固まりとなって、毛玉のような物ができてしまいます。この点に関しては非常に繊細な素材と言えるでしょう。
アルカンターラのシート等の汚れを落とす方法
もしも、アルカンターラのシートや内装が汚れてしまったなど、汚れに対しての対処法ですが、基本的には中性洗剤をぬるま湯で薄めた洗剤を使って汚れを落としていく方法のため、ファブリックシートなどの清掃方法と変わりはありません。
また、カーシャンプーなどを製造販売しているメーカーからは、アルカンターラ専用クリーナーやアルカンターラ対応クリーナーも販売されているため、中性洗剤で等で落としきれない汚れが付いてしまった場合には、これらのアルカンターラに対応した洗剤を使用すると良いでしょう。
ただし、あまり強く拭きすぎると毛玉のような物ができてしまうため注意が必要です。
本革とアルカンターラを比較した結果
本革とアルカンターラの具体的な比較ですが、耐久性や防汚効果については水分が染み込みにくく傷や破れなどに強いアルカンターラの方が本革よりも勝っています。
また、保湿性と通気性に関してもアルカンターラの方が優れており、夏場は蒸れにくく冬は暖かな素材です。
そのため本革で造られたシートのように、冬場にシートヒーターが必要と言う事は無く寒い思いをする必要はありません。
価格面に関しては、本革の方がコストパフォーマンスに優れておりアルカンターラは唯一この点で本革に劣る素材と言えます。
まとめ
今回はアルカンターラについて解説してきましたが、高級素材である本革や実用性に優れたファブリックなど、これらの良いところを全て1つにまとめた人工皮革がアルカンターラとなります。
高級自動車メーカーであるランチアがアルカンターラを採用したことによって、世界中の高級車に広まっていったことを考えるとその功績は多大なものとなります。
そんな素材を、日本の化学メーカーが40年以上も前に開発していたと言う事も驚きの1つと言えます。
アルカンターラは他の素材よりも優れている点が多く高級感を演出する事の出来る素材ですが、耐久性が高い事や製造コストが高い事などメリット・デメリットもありますので、シートやステアリングなど内装材を選ぶ際には各素材の特徴を考慮して選ぶ事をおすすめします。
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